'05WEB公募書道展 J10   

J10 徒然草第三十八段 東宮拓実 様 (神奈川県 22歳 男性) home Tohgu Takumi Web Site mail


徒然草 第三十八段

横72cm×縦17cm

徒然草 第三十八段



楽

…位高く、やんごとなきをしも、すぐれたる人とやはいふべき。愚かにつたなき(灰地部分⇒)人も、家に生れ、時に逢へば、高き位に昇り、奢を極むるもあり。いみじかりし賢人・聖人、みづから賎しき位に居り、時に逢はずしてやみぬる、また多し。偏に高き官・位を望むも、次に愚かなり。
 智恵と心とこそ、世にすぐれたる誉も残さまほしきを、つらつら思へば、誉を愛するは、人の聞きをよろこぶなり、誉むる人、毀る人、共に世に止まらず。伝へ聞かん人、またまたすみやかに去るべし。誰をか恥ぢ、誰にか知られん事を願はん。誉はまた毀りの本なり。身のの(白地部分⇒)ちの名、残りて、さらに益なし。これを願ふも、次に愚かなり。
 但し、強ひて智を求め、賢を願ふ人のために言はば…

「枕草子」、「方丈記」と並ぶ日本三大随筆の一つである「徒然草」を書きました。 字の形が少し変わっていますが、これは鎌倉時代の歌人、藤原定家(ていか)という 人の書き方をまねたもので、「定家流」と呼ばれるものです。  この第三十八段は金や地位に固執することをするどく批判するもので、 「まことの人は、智もなく、徳もなく、功もなく、名もなし」とする無常感も垣間見えます。

楽
られんことを願はん。誉はまたそしりのもとなり。身のの(白地部分⇒)ちの名、のこりて、さらに益なし。これを願ふも、つぎにおろかなり。  但し、強ひて智を求め、賢をねがふ人のために言はば、

そ=曽
に=爾=尓
お=於
な=奈
け=介=个

この作品は、東京・上野で開催された、東京学芸大学教育学部書道専攻の学生による 卒業制作展に出品したものです。筆は神保町の玉川堂、紙は日本橋の小津和紙博物舗で 求めました。なかなか自分で気に入るものが書けず、苛立つ日々が続きましたが、 大学の授業が始まる前の早朝に半ばやけくそで書いたものが最終的に残ったというのが 自分自身でもとても驚きでした。