H606 中庸
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『水車というのは全体が水につかっていると回らずに流れるでしょう。
また水から離れていたら回らないでしょう。
仏教の導師のように、世を離れ欲を捨てたら、ちょうど水車が水を離れ
たようなものです。また俗人が教義も聞かず義務もしらずに
私欲一偏に執着するのは水車がまるごと水中に沈んだようなもので、
どちらも社会の役に立ちません。
故に人道は中庸を尊む。』
---原文-----
(二宮翁夜話 巻之一:三 天道人道の弁)翁曰はく、それ人道は譬へば、水車の如し。 其の形半分は水流に順ひ、半分は水流に逆ふて輪廻す。 まるに水中に入れば廻らずして流るべし。 また水を離るれば廻る事あるべからず。
それ仏家に所謂知識の如く、世を離れ欲を捨てたるは、 水車の水を離れたるが如し。 また凡俗の教義も聞かず義務もしらず、 私欲一偏に著するは、水車をまるに水中に沈めたるが如し。 共に社会の用をなさず、 故に人道は中庸を尊む。
水車の中庸は、宜しき程に水中に入りて、半分は水に順ひ、 半分は流水に逆昇りて、運転滞らざるにあり。
人の道もその如く天理に順ひて種を蒔き、 天理に逆うて草を取り、 欲に随ひて家業を励み、欲を制して義務を思ふべきなり。
本紙サイズ 横 35cm 縦 110cm
コメント
こんにちは。
素敵な作品ですね!
見惚れてしまいました。
投稿者: 華流 | 2006年11月23日 19:17
華流さん
ありがとうございます。
十分に書き込む時間がなかったのでまだ気になるところが多く残っていますが、こんな作品を書きたかったのだということだけは表現できました。
投稿者: こちく | 2006年11月24日 10:37